今回ご紹介するのは、Twitterやcakesなどで人気を集めているめいろまこと谷本真由美さんの著書、「不寛容社会」です。
本の帯にある通り、他人を批判したくてたまらない人々のメンタリティに鋭く切り込む内容です。
さらっと読めて内容も面白いので、1日で読み終わりました。
日本ならではのウチとソト文化が断絶を生み出している
この本では日本人がなぜ他人を叩くようになったのかについて考察しています。
その原因として、日本は歴史的に集団主義な社会であること、そこから外れるとたちまち村八分にされてしまうことにあります。
確かに日本では子どもの頃からクラスの皆と同じ行動をとるように教育され、会社でも同じ部署の人と連帯意識を持つように指導されますね。
いわゆる同調圧力が強く、出る杭は打たれる社会なのです。
これは日本だけでなくイタリアやスペインも似たような国民性だそうで、意外でした。
徹底した個人主義のアメリカやイギリスとの違いも詳しく解説されています。
専門知識を持たないマスコミの罪
他人叩きがエスカレートしているのは、マスコミの責任も大きいというのは普段のワイドショーを見ていれば一目瞭然ですね。
ひとたびターゲットとなる人を見つけたら、その人が表舞台から姿を消すまでしつこく報道し続けるのはどうなの?と思うことも多々あります。
谷本さんによると、テレビや新聞社で働く人たちは基本的に新卒入社で、よそから専門知識を持った人が入社してくることがあまりないのも原因の一つとしています。
他の国では政治や経済、ITなどの分野を中心に報道しているのに対して日本はワイドショーばかりなのもうなずけるところです。
ネット社会が他人叩きをエスカレートさせた
そして一般人もTwitterやブログで炎上してしまう時代です。
これはSNSで誰でも簡単に発信できるようになったことから、今までは自分の心の中にしまっていた本音が出てきてしまったのが大きいというのは納得できます。
それともう一つ、FacebookやInstagramの普及により自分より明らかに裕福で優れた人の生活が簡単に見られるようになり、結果として他人に嫉妬する機会が増えてしまった…というのはネット社会の負の側面だと思います。
自分は少ない給料でカツカツの生活をしているのに、海外旅行やホームパーティーで華やかに楽しんでいる人の姿を見たらイラッとくるのも当然のこと。
自分のことに集中するのがベスト
この本では最後にまとめとして、谷本さんからの提言が載っています。
シンプルですが心に響くのでご紹介しますね。
- 人と自分は違う
- 異なるものに寛容であれ
- 大雑把になれ
- 高望みしないで自然の摂理に従え
要するに他人にいちいち執着するのをやめて自分がやりたいことに集中し、細かいことにこだわりすぎない。
そして努力しても手に入らないものはあるのだから、無理して高望みはせずに日々の生活を生きるようにしよう。
日本は高ストレス社会ですが、心の持ちようで楽しく暮らすこともできると感じた一冊でした。
不寛容社会 – 「腹立つ日本人」の研究 – (ワニブックスPLUS新書)
ワニブックス
売り上げランキング: 70,670